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アメリカツノウズムシGirardia dorotocephala 

 プラナリアは水生生物による水質判定においてきれいな水の指標と指定されていますが、これは湧水や低水温の水中に主に生息する在来のプラナリアを対象としています。
 ところが、1960年代のはじめから日本各地の熱帯魚の水槽や、温水の養魚池などで外来のプラナリア(アメリカナミウズムシ、アメリカツノウズムシ、トウナンアジアウズムシ)が、見つかるようになりました。近年、多摩川の中下流,鶴見川ほか東京都や神奈川県の中小河川では、アメリカナミウズムシ、アメリカツノウズムシが普通に見られる様になったそうです。
本年2010年10月25日、神流川下流域のかんな川水辺の楽校内で、アメリカツノウズムシGirardia dorotocephalaを見つけてしまいました。なぜここに!
 同所でこの夏の観察会において珪藻のビドゥルフィアBiddulphia laevisが優占的に見られています。電気伝導度と水温が高いところで見られ、好汚濁性の可能性がある種(渡辺2005)です。
この時も、清流といわれる神流川に?と首をかしげるものはありました。水際で淀みのせいかと思っていましたが、アメリカツノウズムシまで見つかったとなると、神流川も心配になってきました。


 神流川(かんな川水辺の楽校)で確認したアメリカツノウズムシGirardia dorotocephala  (2010.10.25撮影)
     
 岸際の礫の裏に張り付いていたウズムシ。ヒラタドロムシも見られる。この状態では、在来のナミウズムシにも見えた。しかし、この場所にこんなにウズムシがいるのは不思議であり、ナミウズムシとはどこか違う。背中に黒い色があり、もしかしてチスイビルかと思ったが、ピンセットで千切れるからヒルではないから、噂に聞いていた外来プラナリアかもしれないと思った。
左下の白いピンセットで大きさを想像して下さい。
  石から水の中に移すと泳ぎだした。まだ在来のナミウズムシの雰囲気。
 背中の中央が黒く見えますが、これは 腹側にある咽喉の色が透けて見えているのでしょうか。咽頭が黒っぽいのは、外来プラナリアGirardia属の特徴です。
在来ナミウズムシDugesia 属には色素がなく白いのです。
プラナリアの口はお腹にあります。
   
泳いでいるとだんだん体が伸び、特徴の耳も伸び始めました。    体をよくそらしたりします。耳がはっきり見える時もあります。

   
 耳は角状に細くとび出すだけでなく、
大きな三角でヒラヒラしたりもします。
   典型的なアメリカツノウズムシの顔でしょうか。



簡易識別法「頭部の図解検索表」

 
正確なプラナリアの同定は切片標本の顕微鏡検査が必要ですが、「頭部の図解検索表」が発表されていて、種までの仮同定ができます。
 川勝 正治, 西野 麻知子, 大高 明史 (2007): プラナリア類の外来種 . 陸水学雑誌, 68: 461-469、
 川勝 正治等(2008)日本の平地水域のプラナリア類― 在来種と外来種の手引き ―
 http://victoriver.com/Documents/mw_j.pdfから引用して紹介します。一部改変しました(図中の*は筆者が記入)。


 

1、トウナンアジアウズムシDugesia austroasiatica  

小形のプラナリアで、原産地は東南アジア。頭部左右の耳葉は目立たない。

温水域に生息するプラナリアなので、日本の野外で分布拡大の可能性は低いと考えられているようで、野外定着個体群は京都市の深泥池だけで見つかっている。

*在来のナミウズムシとは、外観では区別点なしです。
 

2.アメリカナミウズムシGirardia tigrina

 体表の模様が目立つ。両眼の間隔が狭く、耳葉が中程度で、両眼の間隔が狭い。再生力が強くアメリカ大陸原産だが、ヨーロッパやアフリカなど世界各地に帰化している。ここ10 年来、日本各地で野外定着個体群が見つかっていて、利根川水域低地部(茨城県)における本外来種の分布生態についても報告されている。

*形は在来ナミウズムシとそっくりですが、体にマダラ模様があります。
 

3、アメリカツノウズムシGirardia dorotocephala 

耳葉が細長く伸びるが、常に伸びているのではなく、水中で動いているとき耳葉を活発に動かすので、確認できる。小さい斑点がある。咽頭表面の色素層はかなり濃く、色素斑も見られる。アメリカ大陸原産。2007年には日野市(東京都)の多摩川とその支流、相模原市(神奈川県)の境川および相模川とその支流から多数の個体が採集された。

2010年10月に神流川でも確認した。 


引用文献
1.川勝 正治等(2008)日本の平地水域のプラナリア類― 在来種と外来種の手引き ―http://victoriver.com/Documents/mw_j.pdf
2.川勝 正治, 西野 麻知子, 大高 明史 (2007): プラナリア類の外来種 . 陸水学雑誌, 68: 461-469
3.環境庁水質保全局(1999)水生生物による水質の調査法―川の生きものから水質を調べよう―
4.手代木 渉・渡辺憲二(1998)プラナリアの形態分化、共立出版
5.プラナリア原色図説(川勝正治)http://www2u.biglobe.ne.jp/~gen-yu/plaj_list.html 
6、渡辺仁治(2005)淡水珪藻生態図鑑、内田老鶴圃

 
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